はじめに

賃貸不動産の退去において、退去届の提出は重要なプロセスの一つです。

先日、リモデラユーザーである不動産管理業者様より次のようなご相談がありました。

「借主から１ヶ月前に退去届を送ったと言われたのですが、届いていません。いつまで賃料が発生するかでトラブルになっています。この場合、どちらに責任があるのでしょうか。」

借主が送ったと言っている退去届が貸主に届いていない場合、その責任は誰にあるのでしょうか？
この記事では、どちらに責任があるのかを考察したいと思います。

退去届とは何か？

退去届（または退去通知書）とは、借主が賃貸物件を退去する意向を貸主（または管理会社）に正式に通知する文書のことです。

退去届（退去通知書）ひな形テンプレート
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この通知によって、貸主は新たな入居者を募集したり、退去後の原状回復工事の準備に着手します。
そのため、退去届は一度受理すると撤回できないことが多いです。

退去届が届かなかったらどうする？

借主が退去の意向を伝えずに退去届を出し忘れていたとしたら、
借主は当然にその人が入居し続けてくれるものと考えるため、契約は継続することとなります。

しかし仮に、借主が退去届を送ったと主張しているのに、貸主は退去届が届いていないと主張している場合、どちらに責任があるのでしょうか。
退去届を提出した方法に分けて考察していきたいと思います。

・借主が退去届を郵送で提出したと主張する場合
郵送で送ったと主張されても、貸主に届いていなければ受理したことにはならないのが一般的です。
トラブルを防ぐために、借主は必ず書留郵便などで郵送して利益を残せるようにしましょう。

・借主が退去届をFAXで提出したと主張する場合
FAXで送ったと主張されても、貸主に届いていなければ受理したことにはならないのが一般的です。
FAXは電話回線を利用して一方的に発信するため、届いたことを自動で確認する術はありません。
トラブルを防ぐために、賃借人は必ずFAX送付後に電話で到着確認をし、到着した担当者の名前を確認しておきましょう。
コンビニFAXを利用する場合は、送信履歴が出るのでそれを持っておきましょう。

・借主が退去届をメールで提出したと主張する場合
メールで送ったと主張された場合は、借主には送信履歴が残っています。
トラブルを防ぐために、借主はメールの送信履歴が消えないようにしておきましょう。

以上のように、基本的には借主が退去届を提出した、と主張しても、
貸主が届いていない、と主張すれば貸主が有利になることが一般的です。

しかし本記事に記載したようなケースは、一律に有利不利が明確になるものではなく、個別事案によって見解が分かれる場合があります。
そのため、弁護士等の有識者の意見を参考にして対応することをお勧めします。

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